🔥妄想短編小説:プーさんおじさん 薪王になるEpisode2

妄想短編小説

第2話「焚き火取締局とカリカリの叫び」


夜の山奥。いつものように、焚き火の動画は静かに終わっていた。
カメラが止まると、プーさんおじさんは帽子を脱ぎ、迷彩マスクを外した。

「……やっぱ、焚き火は裏でやるほうが燃えるな」

軽く笑ったその時だった。
黒の軽トラの無線が、けたたましく鳴った。


🚨「TFTが動いた。カリカリがやられた!」

焚火取締局(TFT)――政府直轄の監視組織。
非正規薪、いわゆる“密薪”を所持・使用する者に、厳重な処分を課す新法「焚火管理令」が発令されたのは昨日のこと。

「こちらF-01、現場確保済み。容疑者“カリカリ”を確保。供述内容は……“俺はただ、美味い焼きおにぎりを焼きたかっただけなんだ…”」

無線の向こうで、カリカリが叫んでいた。
「あの白樺薪はっ……香りが違うんだ!爆ぜないんだよ!!!」
「焚き火に……自由を返せええええっ!!!」


🧸プーさんおじさんの決意

プーさんおじさんは、静かにポケットから「LOG」のペンダントを取り出す。

それは、かつて彼が手にした“最上級グレード薪”を象徴する印。
焚き火の温もりと、記憶と、自由の象徴だった。

「……カリカリ、お前、そこまで焚き火バカだったのか」

プーさんおじさんは、再びマスクをかぶる。
その姿はもはや、ただの癒し系キャンパーではなかった。


🌲秘密の薪倉庫へ

軽トラに飛び乗り、プーさんおじさんは南東の山間部へと向かう。
そこには、彼がかつて“伝説の林業師”から引き継いだ薪の貯蔵庫があった。

「政府が“火”を管理しようとするなら、俺たちは“炎”を守るしかない」

彼の手には、白樺、楢(なら)、そして桜薪。
焚き火の魂が宿ると言われた三種の神器が握られていた。


🔥ラストシーン

月の明かりの下、プーさんおじさんは一人、焚き火を灯す。

「カリカリ、お前の焼きおにぎりは、確かに……最高だったよ」

火がパチ…パチ…と、やさしく鳴く。
その音は、彼の心と同じリズムで燃えていた。

「次は……“奴ら”が来るな」

遠く、空に低くうなるエンジン音。

焚火取締局、本部直轄部隊が動き出す――


🔥次回予告(第3話)

第3話「炎の裁きとLOGの暗号
拘束されたカリカリが政府の焚き火研究所で“薪識別テスト”を受ける中、プーさんおじさんはかつての仲間“カタログ”を訪ねる。鍵となるのは、古の樹から削られた「幻の薪」だった――。

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