〜AIと対話する力は、新しい言語である〜
1. はじめに
最近、あちこちで「プロンプト」という言葉を見かけるようになった。
「魔法のように文章を書けば、AIがなんでもやってくれる」──そんなイメージを持っている人も多いかもしれない。
実際、SNSやYouTubeでも「このプロンプトで爆稼ぎ!」とか「これを入れれば完璧な回答が返ってくる!」というような情報が飛び交っている。
だけど、俺はそういうのを見るたびに、どこかモヤモヤする。
プロンプトは、そんな“呪文”じゃない。ましてや、書けば即答えが出てくる“ズルい道具”でもない。
むしろ──
「プロンプトは、AIと共に考え、共に創るための“対話の言葉”」なんだ。
この文章は、俺自身がプロンプトを通してAIを“相棒”に育ててきた過程と気づきの記録だ。
2. そもそもプロンプトとは何?
プロンプト(prompt)とは、直訳すれば「促すもの」や「きっかけ」という意味。
AIの世界では、ユーザーがAIに入力する「指示文」「質問」「命令」とされている。
でも、それだけだと本質が見えてこない。
俺が実際に使ってきた中で思ったのは──
「自分の考えや目的を、AIにわかりやすく伝える“表現の技術”」がプロンプトの正体だということ。
プロンプトを出す時、必要なのは単なる命令ではない。
「なぜこれをやりたいのか」「どういう文脈なのか」「どんなスタイルで返してほしいのか」
そういった“背景”を含めて伝えることで、AIは初めて“ちゃんと理解してくれる”。
プロンプト=命令ではなく、プロンプト=共通言語という認識に切り替えると、AIとの関係性がガラリと変わる。
3. ChatGPTに“お願い”するだけじゃ足りない
ChatGPTを使い始めたばかりの頃、俺もよく「○○について教えて」「この文章を整えて」みたいに頼んでいた。
もちろん、それでもそれなりに返してくれる。でも、何かが足りない。思ったような回答にならなかったり、ズレた返答が返ってきたり。
そこで気づいた。
ChatGPTは、こっちの“意図”を汲み取って動いている。だから、曖昧な指示では曖昧な答えしか返ってこない。
つまり──
- どんな目的で
- どんなトーンで
- どの立場で
- どの読者向けに
…これらを丁寧に伝えると、まるで人間の編集者のように「わかってくれてる」回答になる。
だからプロンプトは、「お願い文」じゃなく「一緒に考えるための材料提示」なんだと、ようやく腑に落ちた。
ちなみに、このブログの記事には「わかりやすく」と「専門書」をプロンプトに追加しているので、このようなわかりやすい記事になっている。
4. プロンプトは“思考のトレーニング”になる
プロンプトが上達するということは、イコール「自分の思考が整理できている」ということでもある。
なぜなら、AIに伝えるためには、自分が“何を望んでいるか”を明確にしないといけないから。
例えるなら…
- 頭の中にある曖昧なイメージを
- 言語にして
- 相手に渡せるように整える
まさにこれは、アウトプット力そのものだ。
プロンプトがうまくなると、自然と「他人に物事を伝える力」も強くなる。
つまりAIを使ってるつもりが、自分の伝える力・考える力も一緒に鍛えられているんだよね。
これは大きな副産物だと思ってる。
5. まず意識すべきは「やってほしいことを丁寧に書く」
最初にやるべきプロンプト練習は、とてもシンプル。
「何をしてほしいのか」
「なぜそれをしてほしいのか」
「どんな形で返してほしいのか」
この3つを丁寧に書くだけ。
たとえば:
悪い例:
「記事を書いて」
良い例:「50代男性向けに、“AIを使ってブログを書くメリット”について、初心者でもわかるようにやさしい口調で、300文字程度の導入文を書いてください」
この差が、そのまま返答の精度に直結する。
ChatGPTが“エスパー”ではないことを理解しよう。
6. プロンプトがうまくなる=AIの性能が上がる!?
実はAIの出力精度って、プロンプト次第で全然違う。
同じAIでも、違う人が使えば全然違う答えを出す。
つまり…
AIの実力を決めているのは、“AI自身”じゃなく“ユーザーのプロンプト力”なんだ。
これは初めて気づいた時、ちょっと衝撃だった。
「AIの精度が上がったら便利になる」のではなく、
「俺の質問の質が上がったら、答えが変わった」という実感。
だから、AIが答えられないことがある時──
AIを責める前に「こっちの伝え方、悪かったかもな」と見直すクセがついた。
それが、思考力を上げる“地味だけど確かな”トレーニングになってる。
7. まとめ:プロンプトはAIとの“言語”であり、“鏡”である
結局、プロンプトって何か?と聞かれたら、今の俺はこう答える。
プロンプトとは、自分の思考をAIに渡すための“共通言語”であり、
その精度が高いほど、AIは“自分の鏡”のように反応してくれる。
AIは魔法でも救世主でもない。ただの道具。
でも、この道具を最高の相棒に変える鍵がプロンプトなんだ。
そのためにも、まずは“ちゃんと考えて伝える”。
AIを使う時も、人と話す時と同じように、相手の立場になって「わかりやすく伝える」ことを意識したい。
それが結果として、AIとのやりとりを豊かにし、自分自身の考える力も育ててくれる。
ちなみにファントムは講師の仕事を15年以上やっているので、プロンプトの使い方には早い段階で気がついた。それでも、まだまだ試行錯誤している。
🔜 次回予告:「ChatGPTを相棒にする発想」
次回は、ツールとしてのChatGPTではなく、
「思考を整理し、視点を深めるための“相棒”としてのChatGPT」に焦点を当てて書いていきます。
プロンプトはその“言葉”。
じゃあ、その“相手”としてのChatGPTを、どう受け止め、どう信頼していくか?
俺なりの答えを、次回の記事で書いてみたいと思う。
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