名探偵ケア壱シリーズ #06『仮説が当たりすぎると、周囲が追いつかない問題』

名探偵ケア壱シリーズ

🧠 はじめに

「なんでそんなことまで分かるんですか?」
「それ…言われて初めて気づきました…」

これ、実はよく言われるセリフ。
だけど、こちらとしては“なんとなく気になったこと”を言葉にしただけだったりする。

そして、問題はここからだ──
仮説が当たると、その先の行動や支援のステップも一気に見えてしまう
でも…周囲はまだ“スタート地点”にいる。


⚡ 1. 思考が飛び、着地してしまう脳

脳内での思考はこうだ:

  • 違和感を拾う
  • 情報をスキャンする
  • パターンを組む
  • 仮説が浮かぶ
  • 結果が予測される
  • 対応パターンが選ばれる

──この流れが、ほぼ自動で同時に走ってる。

だから、自分の中では「今すぐ◯◯を試した方がいい」と明確にわかる。
でも、周りは「まだ何が起きてるか整理してる段階」。


🚧 2. “察知”と“共有”のギャップ

このズレが続くと、こんな状況になる:

  • 自分「ここが原因かも」→ 周囲「そんなこと分かるわけない」
  • 自分「◯◯にしてみたら?」→ 周囲「なんでそう思ったの?」

つまり、説明がないと“直感”と受け取られる

説明が足りないと「根拠がない」「飛躍しすぎ」って言われるし、
丁寧に説明すると「説明が長すぎて理解できない」って言われる(笑)


🔍 3. 「正しさ」と「共有のタイミング」は別物

仮説が当たっているかどうかよりも、
“共有するタイミング”と“伝え方”が重要なんだと気づいた。

当たりすぎる仮説は、時に「怖い」「ズルい」「先回りしすぎ」と受け取られる。

だから最近はこうしている:

  • まず相手が気づけるように質問を投げる
  • 自分が見えているものを“仮説”として共有する
  • 「これ、気のせいだったら」や「例えば」と前置きをする

そうしないと、相手の中に「自分で気づいた感覚」が育たない。


⚠️ 4. 追いつかせる工夫は、ケアにも通じる

これって、認知症ケアにも同じことが言える。

  • いきなり正論をぶつけても、本人も家族もついてこれない
  • 本人や家族の“気づき”を邪魔せず、横に寄り添うこと
  • 答えを教えるんじゃなく、気づける状況をつくる、もしくは、待つこと。

つまり、
仮説が当たることに酔わず、“育てるケア”をすることが大事だと気づいた。


✅ 最後に

「わかってしまう人」は、時に孤独だ。
でもそれは、“ズレている”んじゃなく、“少しだけ早いだけ”。

そして早く気づいた人には、
“待つ力”と“伝える技術”が必要になる

推理脳には、“先走らない技術”も要るのだ。


📎 まとめ

  • 仮説が早く立つと、行動や支援の見通しも早く見える
  • 周囲との思考スピードのズレが“摩擦”になる
  • 仮説は「正しさ」より「共有できるか」がカギ
  • ケアでも、本人や家族に“気づきを育てる”姿勢が必要

次回 #07(最終話)は、
『推理脳×ケア脳 〜だから僕は、この仕事を選んだ〜』へ!

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