名探偵ケア壱シリーズ #03『バラバラな情報を仮説につなげる脳』

名探偵ケア壱シリーズ

🧠 はじめに

ある日、訪問先のご家族がこう言った。

「最近、うちの母がご飯をよく残すんです。」

ふむ。…ただの食欲低下だろうか?
体調?季節?味?量?タイミング?
誰が作ってる?誰と食べてる?
冷蔵庫の中身は?食器の変化は?雰囲気は?

…頭の中が、フル回転を始める。


🧩 1. 仮説の入口は「違和感」

違和感を感じたら、まず“素材集め”が始まる。
感覚的に拾っている情報は、実はこういうもの:

  • 環境(部屋の照明・室温・音・匂い)
  • 本人の動き(表情・歩き方・目線・間)
  • ご家族の言葉(トーン・言い回し・話題の選び方)
  • 前回との違い(予定とズレていないか)

このバラバラの情報たちが、僕の頭の中に“浮かぶ”。


🧠 2. 並列処理と立体構造

それらを、一列に並べるのではなく、立体的に組み上げていく
仮説とは、脳の中で生まれる“構造物”に近い。

例えば:

●仮説A:食べる場所が変わって、光の反射が気になる?
●仮説B:義娘との関係性の影響で食欲が落ちてる?
●仮説C:冷え性のため、部屋が寒くて代謝が下がってる? etc・・・

──この時、どれか一つに飛びつかないのがポイント

全部、同時に持ちながら進む。
“選択肢を捨てずに保留できる”のも、この脳のクセ。


🧩 3. 構造化とは「関係性を見抜く」こと

単なる情報ではなく、

  • 「どの情報が“因果”に近いか?」
  • 「どれが“背景”で、どれが“引き金”か?」
  • 「どの順番で見ていくべきか?」

という“優先順位”と“関係性”を見極めて、脳内で結びつけていく。

まるで、事件の相関図を作る探偵のように──。


🔍 4. 「仮説が浮かぶ」=「構造がつながった」

仮説とは、“直感”ではない。
実は、構造化が完了した結果として浮かんでいる

  • 違和感というサイン
    → 情報の収集
    → 仮説の立案(複数)
    → 優先度と関係性を組み直す
    → 「これかもしれない」と“出てくる”

このプロセスが“無意識に近いスピード”で進むのが、僕の脳の仕様だ。


✅ 最後に

推理脳にとって、仮説は“閃き”じゃない。
日常を舞台にした“思考の積み上げ”だ。

そして、
この「積み上げていくこと」こそ、僕にとっての快感であり、
人の理解に近づく最も誠実なアプローチだと思っている。


📎 まとめ

  • 違和感を感じたら、バラバラな情報を自動的に収集
  • 脳内では、情報を立体構造として組み立てている
  • 仮説とは「構造化が完了したときに浮かぶアウトプット」
  • 推理脳の仮説力は、“優先度と関係性”を整理できる力にある

次は、
#04『仮説が“当たる”理由とその副作用』へ──🧠💥

← 名探偵ケア壱シリーズまとめページに戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました