怒りはなぜ湧く?“脳と心”で見る新人リーダーの壁

リーダーの心得と技術

リーダーとして現場に立ち始めたとき、多くの人が最初にぶつかる壁──それが「感情」との向き合い方です。
「何度言っても伝わらない」「勝手な判断をされる」
そんな場面で、ついイライラが募って声を荒げそうになる。
けれど、その後に自己嫌悪に陥る──。この繰り返しに悩む新人リーダーは少なくありません。

でも、その“怒り”には理由があります。
そして、その感情とうまく付き合えるようになると、現場は見違えるほどスムーズに回り出します。


怒りがこみ上げた、ある日の出来事

たとえば──

  • 申し送りを無視して勝手な判断をされた
  • 時間になっても動き出さないスタッフ
  • 何度言っても「できません」と返される

そんな瞬間、心の中に「なんで?」「ふざけてるの?」という怒りがこみ上げます。

🔸 事例:夜勤明けのリーダーが怒鳴りそうになった瞬間
ある施設で、夜勤明けのリーダーが申し送りで「Aさんのトイレ誘導、6時にお願いします」と伝えていました。
ところが7時過ぎても誘導されず、Aさんは失禁。理由を尋ねると、新人職員は「すみません、バタバタしてて…」とだけ。

その瞬間、リーダーは思わず怒鳴りかけました。でも、ぐっと堪えて心の中でこう言い聞かせたのです。
「この怒りは、自分の“責任感”が傷ついたから湧いているんだ」

そう気づいたことで、冷静に状況を整理し、建設的な話し合いへとつなげることができました。


怒りの正体は「価値観が傷ついた」サイン

怒りは“悪者”ではありません。むしろ、それは「自分の大切にしている価値観が傷つけられた」ときに起きる、ごく自然な反応です。

心理学では、「怒りの奥には悲しみや不安などの一次感情がある」と言われます。
たとえば──

  • 「真剣に向き合っていたのに…」という悔しさ
  • 「信頼していたのに…」という裏切られた気持ち

また、脳の仕組みとしても、感情を司る“扁桃体”が先に反応し、理性的な判断を司る“前頭前野”より早く動くという特性があります。だから怒りは、一瞬で湧いてしまうのです。


怒りと付き合うための3つのヒント

① 怒りに“名前”をつける(ラベリング)

「イライラする」ではなく「悔しい」「無力感」「焦り」など、より具体的な言葉にすることで、脳が冷静さを取り戻しやすくなります。

② “Iメッセージ”で伝える

「あなたが悪い」ではなく、「私はこう感じた」と自分を主語にして伝えることで、相手を責めずに話すことができます。

③ 自分なりの“切り替えスイッチ”を持つ

深呼吸、席を外す、メモに書くなど、自分の感情が暴走しないための“仕組み”をあらかじめ持っておきましょう。


怒りを「抑える」のではなく「整える」

怒りを感じないようにする必要はありません。
大切なのは、その感情に気づき、上手に付き合うことです。

「怒らないリーダー」よりも、「怒りを整えられるリーダー」が、現場では信頼されます。
あなたの中の“怒り”が、実は“責任感”や“正義感”から生まれたものなら──
それは、リーダーとして成長するための大事な種になるかもしれません。

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怒りの背景にある“脳と心”のはたらきを、心理学と脳科学の視点で詳しく解説しています👇
📘 note記事:【【リーダーの怒り】なんでこんなにイライラするの?どうすればいい?】
👉 https://note.com/careoji/n/n2ef943ae4476

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